また、部屋に誰かがいた
先週、埼玉に住んでいた祖父が亡くなった。その祖父が飼っていた犬だ。
遺品整理に来た両親から「お前のところで面倒みてほしい」と言われ、幸い、今、住んでいるアパートが「ペット可」であったことと、当時、ちょうど彼女に出て行かれて寂しかったことから、俺は快諾した。
名前は「ミミ」というらしい。

そんなミミは少し変わった犬だった。
おとなしいと言えば、そうなんだが、いつも窓の外を見ている。
窓から見える空を

部屋の中央に座り、窓から空をずっと見上げているミミの後ろ姿を見ながら、
「普通、こういう小型犬って、もっと落ち着きのないもんだと思ってたけどな…」
もっと、部屋のなかをめちゃくちゃにされるんじゃないかと警戒していた俺は、その奇妙なシーズーに安堵した。

その翌日は休日だったので、俺はミミを散歩にでも連れて行こうと考えたが、リードを見せてもミミは騒ぐこともなく、やはり部屋の真ん中に座り込んで、窓から空を眺めている。

すると…

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