また、部屋に誰かがいた
ミミとの同居生活を始めて、1か月が経った。
相変わらずミミは窓から空ばかり眺めていて、雨が降ると急にはしゃぐように動き回る。

「なんだろう?」

不思議に思っていた俺の疑問は母からの電話で解消された。
その夜、会社からの帰りに電車を降りて、いつもの弁当屋に寄ろうとしていたとき、不意に電話が鳴った。

「犬の世話はちゃんとできてる?お前はひとりもんで仕事もあるし…大変だったら代わりに面倒みてくれるひとを探そうか?」

「いや、大丈夫。それより、気になることがあるんだ。あの犬…なんか変なんだ」

俺はミミの奇行について母親に話した。すると…

「ああ!それなら以前に聞いたことがあるよ!確か…おじちゃんねぇ…農家だったでしょ。朝早くから日が暮れるまで畑や田んぼに出てたから、あの犬は普段はずっと一人で留守番してたらしいのよ。たぶん雨が降ってる日はおじいちゃんも家にいただろうから、それでじゃないかねぇ…」


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