また、部屋に誰かがいた
それを聞いたとき、俺の脳裏に、ずっと窓から空を見上げている小さなミミの後姿が浮かんだ。
そのとき

ポツ…ポツ…

急に雨が降り始めた。俺は自分の部屋に向かって駆けだしていた。

部屋のドアを開けると、ミミが騒いでいる。しっぽを大きく振りながら…

「ミミ…」

雨音が部屋の中にこだまする

しばらくすると、いつものようにミミは部屋の隅で丸くなる。
その目が寂しそうだ。

「ミミ…」

俺はミミを抱きしめていた。

「もう雨が降っても、じいちゃんは帰ってこないんだよ…」

たぶん、ミミはそれをわかっているのかもしれない。

でも、やっぱりミミは雨が嬉しいんだ。

雨音には、それに重なる祖父との思い出があるから





「部屋に誰かがいた」


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