また、部屋に誰かがいた
「あら、玲奈ちゃんやないの!」
圭太の母親が買い物袋を手に帰って来た。
「あ、おばさん!お邪魔してます」
「どうしたんや?圭太。おでこのとこケガしてるけど…」
「いや…ちょっと転んでぶつけたんや…」
「ふーん…ありがとな玲奈ちゃん。手当してくれてたんや」
薬の入っている箱を棚にしまおうとしている玲奈に圭太の母はそう言うと
「そや!玲奈ちゃん、久しぶりにご飯食べていきや!今日ハンバーグやで!うちのひと今日晩御飯いらんて、さっき電話あってん!」
「じゃあ、お言葉に甘えていただきます!」
そう答える玲奈の隣で圭太は
「やったぁ!ハンバーグ、デカいやつ焼いてや!」
「あんた!本当にハンバーグ好きやねぇ…」
あきれた様子で言う玲奈に
「あほか!あんな美味いもん他にないで!」
圭太の家で夕食を食べ終わって20時頃
「おばさん!ごちそうさまでした」
「いえいえ、おそまつさまでした。また遊びに来てね」
笑顔で玲奈に答える母に圭太は
「俺、送ってくるわ」
「圭太!もう暗いから、玲奈ちゃんを、ちゃんと家まで送ってくるんやで!」
「わかっとるって!」
季節は夏から秋へと変わる入口あたり、日が落ちて数時間も経てば涼やかな風が抜け、虫の声があちこちから聞こえる。
夜間は人通りの少ない住宅街を圭太と玲奈は並んで歩いていた。
幼なじみとはいえ、こんな状況になると圭太は変に意識してしまって、黙ったまま歩いていた。
足の長いスレンダーな体型に形の良い高い鼻と大きな目。たまに玲奈と歩いていると周囲の男たちが振り返るのを圭太はいつも感じていた。
「久しぶりやったけど、圭太のおかあさんのハンバーグは美味しいわあ」
「ハンバーグは人類が作り出した最高の料理やからなぁ」
「ふふふ…」
玲奈はイタズラっぽく笑って、
「ほんと…圭太はハンバーグが好きなんやねぇ」
「まあな。」
「じゃあ今度、久しぶりにうちにおいでよ。あたしが作ってあげるから」
「……!」
「どうしたん?」
「いや…うん…まぁ…いずれな…」
圭太はなんとなく自分の顔が「かあっ」となるのを感じて、玲那と反対側の空を仰いだ。
圭太の母親が買い物袋を手に帰って来た。
「あ、おばさん!お邪魔してます」
「どうしたんや?圭太。おでこのとこケガしてるけど…」
「いや…ちょっと転んでぶつけたんや…」
「ふーん…ありがとな玲奈ちゃん。手当してくれてたんや」
薬の入っている箱を棚にしまおうとしている玲奈に圭太の母はそう言うと
「そや!玲奈ちゃん、久しぶりにご飯食べていきや!今日ハンバーグやで!うちのひと今日晩御飯いらんて、さっき電話あってん!」
「じゃあ、お言葉に甘えていただきます!」
そう答える玲奈の隣で圭太は
「やったぁ!ハンバーグ、デカいやつ焼いてや!」
「あんた!本当にハンバーグ好きやねぇ…」
あきれた様子で言う玲奈に
「あほか!あんな美味いもん他にないで!」
圭太の家で夕食を食べ終わって20時頃
「おばさん!ごちそうさまでした」
「いえいえ、おそまつさまでした。また遊びに来てね」
笑顔で玲奈に答える母に圭太は
「俺、送ってくるわ」
「圭太!もう暗いから、玲奈ちゃんを、ちゃんと家まで送ってくるんやで!」
「わかっとるって!」
季節は夏から秋へと変わる入口あたり、日が落ちて数時間も経てば涼やかな風が抜け、虫の声があちこちから聞こえる。
夜間は人通りの少ない住宅街を圭太と玲奈は並んで歩いていた。
幼なじみとはいえ、こんな状況になると圭太は変に意識してしまって、黙ったまま歩いていた。
足の長いスレンダーな体型に形の良い高い鼻と大きな目。たまに玲奈と歩いていると周囲の男たちが振り返るのを圭太はいつも感じていた。
「久しぶりやったけど、圭太のおかあさんのハンバーグは美味しいわあ」
「ハンバーグは人類が作り出した最高の料理やからなぁ」
「ふふふ…」
玲奈はイタズラっぽく笑って、
「ほんと…圭太はハンバーグが好きなんやねぇ」
「まあな。」
「じゃあ今度、久しぶりにうちにおいでよ。あたしが作ってあげるから」
「……!」
「どうしたん?」
「いや…うん…まぁ…いずれな…」
圭太はなんとなく自分の顔が「かあっ」となるのを感じて、玲那と反対側の空を仰いだ。