また、部屋に誰かがいた
一方、玲奈は今でもはっきり覚えている圭太との思い出を振り返っていた。

2人がまだ小学校の低学年くらいのころ、玲奈が茶髪がかった髪の色をからかわれて、いじめられていた。
「玲奈ちゃんをいじめるな!」幼なじみだった圭太が駆けつけてくれたが、相手は上級生で、圭太も、その頃はどちらかと言えば小柄なチビだったため、当然のように敵うはずもなく、突き飛ばされて汚れてしまったスカートを見ながら泣いていた玲奈の隣でキズだらけの圭太は
「ごめんな。ボクがもっともっと強くなって、玲奈ちゃんを守ってやるんや」
「なんで圭太くんは、そんなにまでしてアタシを守ってくれるん?」


「玲奈ちゃんはボクの大事な宝物やもん」



「ふふふ…」
そんなことを思いだしながら、思わず微笑んだ玲奈に

「なんや?急に、気色悪いな」
「なんでもないよ。ちょっと思い出し笑い」

圭太はあの言葉を覚えているだろうか?玲奈は反対側の空を見上げる圭太の横顔を見ながら、そう考えていた。


< 30 / 147 >

この作品をシェア

pagetop