また、部屋に誰かがいた
「同じ場所に、あまり長くいると、奴らに探知される。行くぞ」
カケルにそう言われた玲那には今、自分の身に起こっていることがまだ理解できていない。
何が何だかわからないなかで突然、緊迫した状況に置かれたことに戸惑い、動悸が収まらない。
「カケルさん、いったいどういうことなの?」
「気持ちはわかるが説明は後だ。いまは俺を信じてくれ」
確かにカケルが助けてくれなかったら、今頃、彼女は死んでいる。
「うん…わかった。」玲那もゆっくりと立ち上がった。
「俺から離れず、付いてくるんだ。いいな。」
2人は町中を移動した。玲奈の運命を元通りに修正しようとしても、
予定にない死者は出せないはずだと考えたカケルは人ごみや電車を選び、周囲の黒い影の出現に注意を払った。
カケルの必死の守りで、それから3日が経ち、玲奈は無事だった。
しかし、彼らを追う黒い影の数は日に日に増していった。
一方、死神2部1課では、
「課長、申し訳ありません。いまだ黒崎の確保はできておりません。対象者も、もう3日間あまり予定を過ぎております。『誤差』で処理するには、あと1日が限界かと。」
「そうか…」
相馬の報告に笹山課長はそれだけ答えた。
「課長!これは重大事ですよ。そもそも対象者の死期は神がお決めになっていることです。」
笹山の冷静すぎる態度に苛立った相馬がそう言うと
「だが、あんな『死神』をお創りになったのも神だ」
笹山は静かに言った。
カケルと玲奈は、その夜、身を隠すようにビルがひしめく駅前のビジネスホテルの一室にいた。
「カケルさん。いつまで逃げなきゃいけないの?」
「もう少しの辛抱だ。『予定のズレ』の範囲を超えて執行することはないだろうから、せいぜい後1日逃げ切れば大丈夫なはずだ。」
「カケルさんは、どうなるの?」
「俺の心配は要らない。」
カケルは笑顔でそう言った。
しかし、事情を全てカケルから聞いた玲奈は、その信じがたい内容に半信半疑であったものの、この数日に実際に起こっていることから彼の話を信じざるを得なかった。
そして、その話が真実なら、カケルが行っていることが、どれほど重大で、その後の彼の身にどのような災いが生じるのか玲奈には想像もできないことだった。
「カケルさんは、どうして、そこまでして私を助けてくれるの?」
それを聞いたカケルはあることを思いだしていた。
まだ小学校の低学年だった玲奈が、いじめられて泣きながら
「なんで圭太くんは、そんなにまでしてアタシを守ってくれるん?」
カケルは玲奈の方を向いて
「それは…いつかわかるよ…」
玲奈は笑顔でそう言うカケルを見つめた。そして
「カケルさん…私…怖い…」
「大丈夫。何も心配要らない」
カケルは玲奈を優しく抱きしめて、もう一度繰り返した。
「大丈夫…必ず守る」
「カケルさん…」
玲奈も腕をカケルの背中へ回し、その手に力をこめた。
やがて、2人は唇を重ね、強く抱きしめ合った。
カケルにそう言われた玲那には今、自分の身に起こっていることがまだ理解できていない。
何が何だかわからないなかで突然、緊迫した状況に置かれたことに戸惑い、動悸が収まらない。
「カケルさん、いったいどういうことなの?」
「気持ちはわかるが説明は後だ。いまは俺を信じてくれ」
確かにカケルが助けてくれなかったら、今頃、彼女は死んでいる。
「うん…わかった。」玲那もゆっくりと立ち上がった。
「俺から離れず、付いてくるんだ。いいな。」
2人は町中を移動した。玲奈の運命を元通りに修正しようとしても、
予定にない死者は出せないはずだと考えたカケルは人ごみや電車を選び、周囲の黒い影の出現に注意を払った。
カケルの必死の守りで、それから3日が経ち、玲奈は無事だった。
しかし、彼らを追う黒い影の数は日に日に増していった。
一方、死神2部1課では、
「課長、申し訳ありません。いまだ黒崎の確保はできておりません。対象者も、もう3日間あまり予定を過ぎております。『誤差』で処理するには、あと1日が限界かと。」
「そうか…」
相馬の報告に笹山課長はそれだけ答えた。
「課長!これは重大事ですよ。そもそも対象者の死期は神がお決めになっていることです。」
笹山の冷静すぎる態度に苛立った相馬がそう言うと
「だが、あんな『死神』をお創りになったのも神だ」
笹山は静かに言った。
カケルと玲奈は、その夜、身を隠すようにビルがひしめく駅前のビジネスホテルの一室にいた。
「カケルさん。いつまで逃げなきゃいけないの?」
「もう少しの辛抱だ。『予定のズレ』の範囲を超えて執行することはないだろうから、せいぜい後1日逃げ切れば大丈夫なはずだ。」
「カケルさんは、どうなるの?」
「俺の心配は要らない。」
カケルは笑顔でそう言った。
しかし、事情を全てカケルから聞いた玲奈は、その信じがたい内容に半信半疑であったものの、この数日に実際に起こっていることから彼の話を信じざるを得なかった。
そして、その話が真実なら、カケルが行っていることが、どれほど重大で、その後の彼の身にどのような災いが生じるのか玲奈には想像もできないことだった。
「カケルさんは、どうして、そこまでして私を助けてくれるの?」
それを聞いたカケルはあることを思いだしていた。
まだ小学校の低学年だった玲奈が、いじめられて泣きながら
「なんで圭太くんは、そんなにまでしてアタシを守ってくれるん?」
カケルは玲奈の方を向いて
「それは…いつかわかるよ…」
玲奈は笑顔でそう言うカケルを見つめた。そして
「カケルさん…私…怖い…」
「大丈夫。何も心配要らない」
カケルは玲奈を優しく抱きしめて、もう一度繰り返した。
「大丈夫…必ず守る」
「カケルさん…」
玲奈も腕をカケルの背中へ回し、その手に力をこめた。
やがて、2人は唇を重ね、強く抱きしめ合った。