また、部屋に誰かがいた
一方、その様子がおかしくなっている木下は焦っていた。

(やばい…)

皆と出かけるときは、そうでもなかったんだが、出発してしばらくした頃、彼の体に異変が起こった。
(あれ…?少しお腹が痛い…)
まだ、やんわりと感じる便意に彼は
(どうしよう?どこかトイレのある場所に寄ってもらおうか…)

だが、彼は「それ」を軽く見ていた。そして
(でも、わざわざ寄り道してもらうのも皆に申し訳ないし…たぶん大丈夫だろう。帰りにでも寄ってもらうか、帰ってからトイレに行けばいい…)
などと考えていた彼が自らの誤った判断に気付いたときには、もはや手遅れだった。そのとき既に、彼らを乗せた車は山道に入ってしまっていて、コンビニなどのトイレがありそうな施設は全く見当たらない。

(し…しまった!!)

激しい土石流のような感覚を下腹部に感じながら、彼は後悔した。

(こ…このままでは…出てしまうかもしれん!)

今にも噴出しそうなマグマを必死に抑える彼の体に思わず力が入る。
< 51 / 147 >

この作品をシェア

pagetop