また、部屋に誰かがいた
翌朝、いつもより早く目が覚めた真奈美はキッチンにいた。子供たちはまだ、2階ですやすやと眠っているだろう。
まだ出勤まで時間の余裕があった彼女は玄関脇の新聞受けに向かった。
新聞を手に取ってから、「少し玄関口の掃除をしておこう」と考えた彼女は下足棚の脇にあったほうきを手に取り、玄関のドアを開けて表に出た。普段は通勤や通学で人通りの多い正面の道路や近所は、まだ時間が早かったため人の気配はなく、静かな朝だった。
しかし、表に出た真奈美は「あるもの」を見つけて固まってしまった。
昨夜、外出から戻った時には気が付かなかったが、茶色い土が落ちている。それはまるで地中から掘り出した「何か」に付いていたものを手で払ったかのように。
その土は玄関脇から続く小さな庭に向かっている。それを目で追いながら彼女が庭に入ると、やわらかな地面にいくつかの足跡が目に入った。それは男物の靴による大きな足跡。
「気味悪い…ここに誰かが来たんだ…」
その足跡は、誰かが侵入し、家の周りを物色していた痕跡のように見える。
不気味な恐怖を感じながら足跡を追う彼女は、ちょうどリビングの窓ガラスの下あたりに、何かを埋めたように土が盛り上がった箇所を発見した。
「なんだろう?」
埋めた後に、その上を押し固めることもなく、掘ったときの痕跡も放置されたその場所に恐る恐る近づいた彼女は、手に持っていたほうきで柔らかく盛られた土を払ってみた。
最近掘られ、再び雑に土をかぶせただけであった「盛り土」はほうきでも簡単に掘り返すことができた。
「………!」
そこにあったものは一枚の写真。
気味の悪さを感じながら手に取って見てみると、それは別れた夫と彼女、そして、その腕の中に抱かれた小さな健人の三人で撮ったものだったが、真奈美の顔の部分が先の尖った何かで何度も刺されてある。
「なんなの…?いったい…」
言い知れぬ恐怖に、写真を持つ彼女の腕に鳥肌が立った。
心臓の鼓動が高まり、背中にひんやりとした汗を感じる。
しかし、その「盛り土」に埋まっていたものはそれだけではなかった。
掘り返すほうきに手ごたえと、土の中に垣間見える嫌な感触。
もうひとつ、そこに埋まっていたものは、無残にもバラバラにされた猫の死骸だった。
まだ出勤まで時間の余裕があった彼女は玄関脇の新聞受けに向かった。
新聞を手に取ってから、「少し玄関口の掃除をしておこう」と考えた彼女は下足棚の脇にあったほうきを手に取り、玄関のドアを開けて表に出た。普段は通勤や通学で人通りの多い正面の道路や近所は、まだ時間が早かったため人の気配はなく、静かな朝だった。
しかし、表に出た真奈美は「あるもの」を見つけて固まってしまった。
昨夜、外出から戻った時には気が付かなかったが、茶色い土が落ちている。それはまるで地中から掘り出した「何か」に付いていたものを手で払ったかのように。
その土は玄関脇から続く小さな庭に向かっている。それを目で追いながら彼女が庭に入ると、やわらかな地面にいくつかの足跡が目に入った。それは男物の靴による大きな足跡。
「気味悪い…ここに誰かが来たんだ…」
その足跡は、誰かが侵入し、家の周りを物色していた痕跡のように見える。
不気味な恐怖を感じながら足跡を追う彼女は、ちょうどリビングの窓ガラスの下あたりに、何かを埋めたように土が盛り上がった箇所を発見した。
「なんだろう?」
埋めた後に、その上を押し固めることもなく、掘ったときの痕跡も放置されたその場所に恐る恐る近づいた彼女は、手に持っていたほうきで柔らかく盛られた土を払ってみた。
最近掘られ、再び雑に土をかぶせただけであった「盛り土」はほうきでも簡単に掘り返すことができた。
「………!」
そこにあったものは一枚の写真。
気味の悪さを感じながら手に取って見てみると、それは別れた夫と彼女、そして、その腕の中に抱かれた小さな健人の三人で撮ったものだったが、真奈美の顔の部分が先の尖った何かで何度も刺されてある。
「なんなの…?いったい…」
言い知れぬ恐怖に、写真を持つ彼女の腕に鳥肌が立った。
心臓の鼓動が高まり、背中にひんやりとした汗を感じる。
しかし、その「盛り土」に埋まっていたものはそれだけではなかった。
掘り返すほうきに手ごたえと、土の中に垣間見える嫌な感触。
もうひとつ、そこに埋まっていたものは、無残にもバラバラにされた猫の死骸だった。