また、部屋に誰かがいた
いま吉本真奈美は公園のベンチに座り、ブランコ遊びをしている子供たちを見守っている。
それを、達也は遠くから見ていた。
彼女たちをまだ見ぬ殺人鬼が襲うのは今夜。
それが誰なのかは結局、今日という日を迎えた今もわからないままだったが、
その事件を利用して、2001年で「やつ」を葬るというのが達也の目的である。
しかし、母親の真奈美や妹の綾香も殺害されてしまうことに彼は胸を痛めていた。
彼には、その気になれば彼女たちを救うことができる。謎の殺人鬼に健人だけを殺させ、二人を救う方法がないかを彼はずっと考えていたが、そんな都合の良い方法はなかった。
そこで、そんな迷いを断ち切るために、達也は一つの賭けをすることにした。
昨夜、コンビニでトイレを借りたとき、そのなかの洗面台に置き忘れた携帯電話を拾った。
「もしかしたら、何かの役に立つかもしれない」
彼が持っているスマホは、この世界では使えない。そう考えた達也は、その携帯電話をポケットにしまった。店の外へ出ようとする彼の後ろのレジで、彼と入れ替わりで店内に駆け込んできた会社員風の男が「携帯電話を忘れてなかったか?」と店員に尋ねている声がした。
幸い、あの会社員風の男は停止連絡をしていないようで、今も、この電話は使えそうだ。
達也は吉本家に忍び込んだときにメモした真奈美の携帯電話番号をそれに打ち込み、発信ボタンを押した。
真奈美と話し、彼女が達也の話を信じてくれたなら、この殺人事件を回避させよう。
もし、それができなければ、当初の予定通りに事を運ぼうと考えたのだ。
耳に当てた携帯電話から真奈美への呼び出し音が聞こえる。
ベンチに座る真奈美がそれに気づき携帯電話を開いているのが見えた。
しかし、彼女がその電話に出ることはなかった。
達也は、改めて今夜の行動を決意した。
それを、達也は遠くから見ていた。
彼女たちをまだ見ぬ殺人鬼が襲うのは今夜。
それが誰なのかは結局、今日という日を迎えた今もわからないままだったが、
その事件を利用して、2001年で「やつ」を葬るというのが達也の目的である。
しかし、母親の真奈美や妹の綾香も殺害されてしまうことに彼は胸を痛めていた。
彼には、その気になれば彼女たちを救うことができる。謎の殺人鬼に健人だけを殺させ、二人を救う方法がないかを彼はずっと考えていたが、そんな都合の良い方法はなかった。
そこで、そんな迷いを断ち切るために、達也は一つの賭けをすることにした。
昨夜、コンビニでトイレを借りたとき、そのなかの洗面台に置き忘れた携帯電話を拾った。
「もしかしたら、何かの役に立つかもしれない」
彼が持っているスマホは、この世界では使えない。そう考えた達也は、その携帯電話をポケットにしまった。店の外へ出ようとする彼の後ろのレジで、彼と入れ替わりで店内に駆け込んできた会社員風の男が「携帯電話を忘れてなかったか?」と店員に尋ねている声がした。
幸い、あの会社員風の男は停止連絡をしていないようで、今も、この電話は使えそうだ。
達也は吉本家に忍び込んだときにメモした真奈美の携帯電話番号をそれに打ち込み、発信ボタンを押した。
真奈美と話し、彼女が達也の話を信じてくれたなら、この殺人事件を回避させよう。
もし、それができなければ、当初の予定通りに事を運ぼうと考えたのだ。
耳に当てた携帯電話から真奈美への呼び出し音が聞こえる。
ベンチに座る真奈美がそれに気づき携帯電話を開いているのが見えた。
しかし、彼女がその電話に出ることはなかった。
達也は、改めて今夜の行動を決意した。