また、部屋に誰かがいた
穏やかな春の日差しに包まれた川沿いの道を、沙也加は祖母の家に向かって歩いていた。
行き慣れている道とはいえ、ひとりのおつかいだから、多少の緊張もしながら…。
しばらく歩いていると、道端に一匹の犬が「伏せ」の状態でうずくまっている。薄い茶色のその犬は大きさから成犬。もしかしたらかなり年を取ってしまっているのか、あまり動かない。
「ワンちゃん。どうしたの?」
沙也加はその犬に近づいて、話しかけたが、犬は立ち上がることもなく、少し鼻を鳴らした。
「なんだか元気ないね。お腹空かしてるのかな?」
犬は相変わらず上目遣いで沙也加を見つめたまま、鼻を鳴らすばかりで立ち上がることはなかった。
その犬がとても可哀想になった沙也加は袋のなかからパンを取り出すと、手で小さくちぎって、その犬の口先に差し出した。すると、弱弱しくではあるが、犬はパンを食べた。
結局、1個しかなかったパンを、その犬に食べさせてしまったため、祖母に持っていくパンがなくなってしまったが、沙也加には、その犬がとても喜んでいるように見えて、「おばあちゃん、ごめんね」と心の中でつぶやいた。
行き慣れている道とはいえ、ひとりのおつかいだから、多少の緊張もしながら…。
しばらく歩いていると、道端に一匹の犬が「伏せ」の状態でうずくまっている。薄い茶色のその犬は大きさから成犬。もしかしたらかなり年を取ってしまっているのか、あまり動かない。
「ワンちゃん。どうしたの?」
沙也加はその犬に近づいて、話しかけたが、犬は立ち上がることもなく、少し鼻を鳴らした。
「なんだか元気ないね。お腹空かしてるのかな?」
犬は相変わらず上目遣いで沙也加を見つめたまま、鼻を鳴らすばかりで立ち上がることはなかった。
その犬がとても可哀想になった沙也加は袋のなかからパンを取り出すと、手で小さくちぎって、その犬の口先に差し出した。すると、弱弱しくではあるが、犬はパンを食べた。
結局、1個しかなかったパンを、その犬に食べさせてしまったため、祖母に持っていくパンがなくなってしまったが、沙也加には、その犬がとても喜んでいるように見えて、「おばあちゃん、ごめんね」と心の中でつぶやいた。