キミと恋に落ちる可能性



「…私たち、陽空くんに怒られたの」

「…え」

「すごい剣幕で怒鳴られて…、あんな陽空くん初めてだった…。私たちはそれだけのことをしたんだよね…っ」

「…っ、」


なんだか胸に何かが詰まる感じがした。

ヒナタが怒ってくれたというのには喜びを感じるのだけど、この人たちはヒナタが怒ったからあたしに謝っているの?

ヒナタの有能さとあたしの無能さを思い知らされる。

ヒナタにはそれだけの影響力があり、あたしにはそれがないんだと。複雑な気持ち。


「本当にごめんなさい!」

「…許しません」

「…っ!!」

3度目の謝罪にピシャリと言い放つと、彼女たちが息を飲んだのが分かった。

だって命を落とすかもしれなかったのに、殺されそうになったのに、簡単に許せるほどあたしは寛大じゃない。


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