キミと恋に落ちる可能性
「でも、プッ、ふはははっ」
それでも尚、吹き出す翔太先輩を遂にはだれもツッコまなくなった。
「翔太先輩、いつまで笑ってるんですか」
そんな中、あたしは少し翔太先輩が可哀想になってきて声をかけてあげた。
「"翔太先輩"?!なんていい響き!!華乃ちゃん、もう1回言って!!」
「はあ?もう言いませんよ」
そんなやりとりをしつつ、再びヒナタの方に視線を滑らせれば、佳乃先輩と文化祭についての話を進めている。
なんという切り替えの早さだ。
「これは去年と同じでいいよね?」
「ああ。でもここだけ少し変えて…」
────ドクンッ
なんだろう。
心臓の音が嫌に響いて、心が黒いもので染まっていく。
息をするのが苦しい…なんて。
「前から思ってたんすけど、陽空先輩と佳乃先輩って仲良いっすよね」
和樹くんのそんな言葉にあたしの脳が一気に回転し始めた。
翔太先輩は、ああ!と頷く。
「1年は知らないか。あの2人は前、付き合ってたんだよ」
「…え」
あたしの乾いた声は誰にも届くことなく、空気に吸い込まれていった。