キミと恋に落ちる可能性



「久しぶり、華乃」

「久しぶり」


向けられる笑顔に懐かしい気持ちとあの頃の苦い想いが蘇ってくる。


「…亮君、ここでバイトしてるんだね」

「うん。…華乃は?」

「あたしは…、学校の行事の買い出しに」

「そっか」


偶然の再会に驚きつつ、とりあえず目的であるお昼ご飯を買うことにした。

華乃はサラダうどんだろ?って笑いながら亮君が言う。

あたしが好きだったもの、覚えてたんだ。

うどん屋さんに行くと高確率でサラダうどんを頼む。


亮君がそれを厨房に伝えると後ろが動き出した。


「華乃、今度会ってゆっくり話さないか?」

「え?」

「話しておきたいことがあるんだ」

「…いいよ」

亮君があまりにも真剣な顔で言うもんだから断るに断れずOKした。断る理由もなかったし。


「また連絡する。華乃、電話番号変わった?」

「あー、うん。スマホ変えちゃった」

「そっか。じゃあ、電話番号教えてくれると助かる」

「わかった。あとで食器返す時に渡すね」


そう言うと、サラダうどんを受け取ってヒナタたちがいる席へと戻った。



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