キミと恋に落ちる可能性
このふたりを前に気まずいあたしと、機嫌の悪いヒナタと、あたしたちの空気に戸惑っている佳乃先輩の3人での初めての食事は、会話ひとつなく終わった。
そして、食べ終わったうどんのお皿をうどん屋さんに返却しに行った。
「あ、亮君。これ、あたしの新しい電話番号だから」
「おう。ありがと。また連絡する」
「うん。わかった」
亮君はさっきあたしが裏に電話番号を書いたレシートを丁寧に折りたたんでズボンのポケットにしまう。
「じゃあ、またね」
「またな」
振り返って、ヒナタと佳乃先輩のところへ行こうとすると、すぐそこに2人がいて駆け寄ってみれば、ヒナタはさらに機嫌が悪くなっていた。
というか、さっきまでは機嫌を損ねていた程度だったのが、顔には出ていないけれど明らかに不機嫌になっている。
「お、お待たせしました?」
さすがのあたしもここまで機嫌が悪くなっていると怖くなって、一応聞いてみる。
「ぜ、全然!ところで、さっきの人は…、っ!やっぱり何でもない!」
佳乃先輩はフォローしてくれたけれど、ヒナタが纏う黒いオーラがどんどん強くなっていくのを感じ取ったのか、質問を途中でやめた。