キミと恋に落ちる可能性
あたしはアイスティーを、亮君はアイスコーヒーを頼むと、間もなくウエイターさんがオシャレなグラスに入ったそれを持ってきてくれた。
「懐かしいな、ここ」
「そうだね」
ここは付き合っていた頃によく来ていた、いわば二人の思い出の場所だった。
オシャレなのにリーズナブルな値段で、学生には有難いお店だったから。
あたしはアイスティーを口に含んだ。
冷たい液体がツーっと喉を通っていくのがわかる。
「あの、さ…話っていうのは…。こんなこと言える立場じゃないのはわかってるんだけど」
「うん」
「俺たちやり直さないか?」
「……、」
何となくわかってはいた。復縁の話じゃないかって。
自意識過剰かもしれないけれど、あの頃は別れる理由がないぐらい、仲睦まじいカップルだったから。