キミと恋に落ちる可能性
「ゆうかー。早く降りて来いよっ」
「だってえ、怖いんだもん」
滑り台の上で降りれなくなってうずくまっている小さな女の子と、その下で女の子を呼ぶ女の子と同じぐらいの歳の男の子が目に入った。
「大丈夫だって。俺がいるだろ?がんばれ」
「う、うん。ゆうか、がんばる」
そう言った女の子は勇気を振り絞って滑り、男の子の胸に飛び込んだ。
「ほら、怖くなかっただろ?」
「うん!ありがと、"ひーくん"」
満面の笑みを浮かべる女の子に男の子は頬を赤く染めてそっぽを向いた。
和ましい光景だが、あたしの脳は"ひーくん"という名前に過剰に反応した。
何故?聞いたことない名前のはずなのになあ。