キミと恋に落ちる可能性


たぶん亮君も同じような気持ちで、別れを決断したんだね。

きっとその決断は間違っていなかったんだ。間違いなんてない。

あたしたちはそういう運命だったんだ。

それが今のあたしに、亮君に繋がっている。

だから、それで良かったんだ。


いつの間にかゴンドラは地上まで下りていて、あたしたちは素早く降りた。

スピーカーからは開園五分前の放送が流れ始め、足早に出口のゲートに向かう。


「俺たち、これからは友達になれるかな?」

「うん。なれるよ」

「そっか…」

送っていこうか、と聞かれたけど断った。

今日はひとりで歩いて帰りたい気分だったから。

亮君はさっきよりもスッキリとした顔で「またな」と言った。

あたしも「またね」って返す。


そして二人は違う方向へ歩き出した。



紺青に染まった空には一番星がキラリと輝いていた。




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