キミと恋に落ちる可能性
「やっぱりメガネは外した方が良いんだよ!」
「俺もそう思う」
佳乃先輩と翔太先輩にそう言われ、なんとも言えない気持ちになりつつ、ヒナタをチラッと見てみた。
ヒナタはあたしたちを見向きもせず、今日の仕事の流れを紙を見て把握しているようだ。
ちょっとぐらい気にしてくれてもいいのに。
なんて自分勝手なことを思ってみるけど、そんなのはヒナタには伝わらない。
「ねえ、翔太。私も似合ってるよね?魔女!」
「似合ってる、似合ってる」
翔太先輩、すごい棒読みなんだけど。
「心がこもってないんだけど?!ねえ、陽空!陽空は似合ってるって思うよね?!」
「ああ。いいと思う」
さっきまでこっちを見向きもしなかったヒナタは、優しい笑みを浮かべているように見えた。
あたしと話すときはあまりしないその顔。佳乃先輩にはするんだ。
やっぱりヒナタは佳乃先輩のことが好きなのかなあ。