キミと恋に落ちる可能性


チクチクと何かが胸の中に刺さる。

あたしは弱いから、そんな状況に耐えられなくてまた逃げ出す。


「あたし!これ、運んできますね?!」

明るい自分を繕って元気な声を出して、あたしってば何やってるんだろ。


あたしが生徒会室から持ち出した器具は生徒会室から少し離れたところに返さなければならない。

賑わい楽しそうな人々の波を掻き分け歩き進んでいく。


そんな中、あたしに声を掛けてくれる人も少なくなかった。少し前まで見向きもされなかったあたしに。

「佐藤さーん。あとでうちのクラス来てよ!」「華乃ちゃん、悪魔可愛い!」「私も仮装したいな!」

それも心なしか男子が多いのは気のせいか。

気のせいと思えば気のせいになるってものだけど、こんなに話し掛けてくれる人が増えるなんて!

これも"文化祭マジック"ってやつ?!


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