キミと恋に落ちる可能性


と、ヒナタは目の前に来たかと思えば、あたしの肩に額をポンと乗せた。


「…だったら良いでしょ?」


ヒナタは何故か弱々しくそう言ったのだった。

どうしたの?

あたしまで不安になってきちゃって、体が動かない。


だけど、

「…ねえ、聞いてるわけ?」

…はあ。人が浸っている時にイラつきが現れた声で話すヒナタにはやっぱり情緒というものが無い。雰囲気というものを考えないのか、この人。


「聞いてますよ」

「だったらちゃんと返事しろよ」

「はい、そうですね。ゴメンナサイ」

「心から謝れよ。棒読みすぎんだよ」


だってここは黙って自分の気持ちとかお互いの気持ちとか考えて、ドキドキきゅーんとかなるところでしょうが!


『良いでしょ?』『良いですよ』なんて雰囲気の無い会話なんてしたくないんだよ、あたしは。


< 232 / 237 >

この作品をシェア

pagetop