キミと恋に落ちる可能性


抱きしめられたヒナタの腕の中であたしは思い出した。


それは遠い遠い昔の記憶。



「はなの」

「なあに。ひーくん」

「はなのはぼくとけっこんするんだぞ。それでいっしょにくらすんだ」

「うん!あたし、ひーくんのことだいすき!」


いつか公園で見た子どもたちを見て引っかかっていたものが一瞬にして解けた。

あたし、ヒナタのこと"ひーくん"って呼んでたんだ。


ヒナタは子どもの頃から俺様っぷりが変わってないな。

そして幼き頃のあたしが素直すぎる。


幼い自分、ヒナタなんかに騙されちゃダメだよ!

なんて言いたいけど、生憎 今のあたしもヒナタの罠にまんまと引っかかってしまっている。


たぶんね、これは随分前から決まっていたことなんだと思う。

もう逃れられないね。




キミと恋に落ち可能性、それは……








END



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