キミと恋に落ちる可能性
入学式というものは、やることがあまりない。
式典さえ終わってしまえばもう放課後。
そんな時間、あたしは教室で美樹と話していた。
「ねえ、櫻井先輩かっこよかったよね?
イケメン最高だわー」
「あ、はは。そうだね…」
まさかあの櫻井陽空と幼なじみとは言えないまま…。
事実を伝えるタイミングを完全に逃したと、あたしの脳内はプチパニックを起こしている。
しかも、ヒナタのファンは小中学生の時よりも確実に増えている。
幼なじみを辞めたい、なんどそう思ったことか…。
「ねえ、明日櫻井先輩のクラス行かない?」
「ええっ!?」
嫌だ。なんでわざわざ自分からヒナタに会いにいかなきゃならないの?!
「そんなに驚かなくても…」
「え、あ…だって、ほら先輩の迷惑になっちゃうかもしれないし…」
我ながら苦しい言い訳にそっか、と納得する美樹は単純だと思う。