キミと恋に落ちる可能性
あたしを呼んだ男子生徒に話があると言われ、人気の少ない校舎裏に連れてこられた。
この場所はあたしの中にある少しの期待を膨らませるのに十分だった。
彼はあたしと形は違うものの黒縁メガネを掛けている。
顔は普通。
特別なカッコいいわけじゃないけれど、ブサイクなわけでもない。
王子様という感じではない。
だけど、真面目そうで堅実そう。
そんな印象の男子で、
正しくあたしが求めていた人だった。
「…いきなり呼び出してすみません。
僕、林 健二-Kenji Hayashiっていいます」
「は、はい」
「あの、ずっと佐藤さんのこといいなって思ってて…良かったら僕と付き合ってくれませんか?」
その言葉はあたしの期待をそのものにしてくれるものだった。
彼氏がほしかった私の答えはただ1つ。
────「…はい」