キミと恋に落ちる可能性
「次のテストで君の順位が僕よりも良かったら僕は君と付き合うのを諦めよう。
ただし、僕が勝ったら付き合ってもらうよ」
彼は最後に『僕が勝つに決まってるけど』と付け足した。
順位なんて高校に入ってからあまり気にしていなかったから知らないけど、彼はきっと成績上位者なんだろう。
「…わかりました」
正直こんな賭けは嫌だけど、これ以外方法がないのなら…。
「受けて立ちます」
メガネくんの目を見据えて、強い声で言い切った。
精一杯のあたしの宣戦布告だ。
ドンッ
すると彼はあたしを壁まで追いやり、腕であたしの逃げ場をなくし、もう片腕で自分のメガネをクイっと上げた。
「君とデートをするのを楽しみにしてるよ」
不敵に笑ってそれを言い残すと、彼はそそくさと屋上を出て行った。
───最悪の壁ドンだった。