初恋のお兄さんと私

「…ったく、のこのこ付いていきやがって。……心配させんじゃねえ」


「そっ、それより!!彼女は!?ほっといていいの!?」


一番、口にしたくないけれど気になることをやっとの想いで言ってみた。


が。


プッ、と吹き出し、笑いを堪える顕奘さん。


「何がおかしいの!?」


噛み付いた。


「あなた、いいコだわっ!!」


どこにいたのか、彼女は現れた。ガラス越しだったし、遠かったが、近くでよくよく見ると、


『お兄さん』だった。


『女性顔の美形』には変わりなかったけれど。


「さっきの店の前でナンパされちまって。困ってたんだが、事情説明してカップルの振りしてもらったんだ。跡つけるならその方が都合いいしな」


はいい!?


「ところで」


すっかり無防備になっている私の肩を抱き寄せ、逃げ場をなくすと、耳元で囁く。


「どういうのが、理想のタイプだって??随分威勢よく啖呵切ってくれたよなあ??傷付いたんだぜ??俺は。これでも」



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