初恋のお兄さんと私
鬼いさんとお姉さんと美少年
放課後になり、部活が始まる。
顕奘さんももちろんいる。
大人になった胴着姿の顕奘さんも格好よかった。
見惚れる余裕もないけど。
「よし、高梨、榛葉、二人組め」
ゲッ!?いきなりご指名ですか!?
『彼氏』の前で、稽古。
顕奘さんは全国大会個人団体総なめにした強者なのだ。
それはもうみんな知っている。
緊迫した、張り詰めた空気に、緊張しすぎて汗が吹き出し、手が震えた。
「始め!!」
パン!!パパン!!
「せいっ!!」
水を打ったような静けさの道場に、竹刀の音が木霊する。
私の心臓は、飛び出そうなほど高鳴っていた。
手に汗が滲んで、額にも汗が吹き出す。
自分だけが違う世界にいるような奇妙な錯覚に陥っていた。
ふと、視線が刺さった気がして、顕奘さんに目が行く。その隙を突いて相手の小手が入った。
パン!!
予想以上に弾かれた竹刀は、手を離れ、宙を舞った。