初恋のお兄さんと私


翌日、
部活に出るのが怖かった私は、サボって帰った。


こんなことは初めてだった。


大型バイクを通勤に使う顕奘さんに、部活が終わったら送ってやると言われたけれど、昨日は合わせる顔もなく逃げて帰ったから。


なんとなく真っ直ぐに帰る気にもなれず、ふっと目についた公園に入った。


「危ない!!」


「えっ…」


突然後ろから声がしたと思ったら、何かが私の背中に飛び付いた。

「な、なに!?」


押し倒されて尻餅をつく。
何が起きたのかわからない。
犬だ。


立ち上がれば私の背丈ほどもある、ゴールデンレドリバーがのし掛かり、顔をペロペロと舐めた。


「く、くすぐったいよう」


思わずケタケタと笑ってしまった。
昔から動物は好きだった。
ずっとマンション暮らしだし、飼うことは出来なかった。


「ジョン!!やめないか!!ごめんなさい!!」


ようやく追い付いた飼い主は、私と同じくらいの男の子だった。


男の子は丁寧に頭を下げて謝ると、ジョンを引き離そうと必死になっている。



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