初恋のお兄さんと私

引っ張ってもなかなか離れようとしない。


「いいよいいよ、私、犬好きだし。謝ってもらうどころか、初めてこんな大きなワンちゃんに触れて、嬉しい!!」


本当のことだった。


「ジョンっていうんた!!可愛い!!いつもここに来てるの??」


落ち込んでいたこともすっかり忘れて、いつまでも笑っていた。


「そう言って頂けると助かります!!犬嫌いで、歩いてるだけで、噛まれでもしたらとか、怒られることもよくあるんで」


レドリバーは基本的に大人しい。よほどのことがないと吠えも噛み付きもしない。


「最近引っ越してきたばかりで、こいつに引っ張られるまま来ちゃったんですけど。散歩紐が抜けちゃって」


「じゃあ、ここ散歩コースにしない??またこの子に会いたいな」


「ホントですか??嬉しいな、こんなに早く友達が出来るなんて」


「この子に、でしょう??」


ちょっと意地悪に言ってみる。


「あ、ひどい」


男の子は、クスッと笑った。
格好いい、というよりは、可愛い顔だ。


よく見ると端正な顔立ち。
アイドル的な。男の子にしては華奢な体つきで、ジョンに引っ張られるのも頷ける。



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