初恋のお兄さんと私

何だか気が合って、小一時間も公園で喋っただろうか。気付くと辺りがすっかり暗くなっていた。


途中まで送ると言ってくれた。
案外うちの近くだった。


マンションについて、部屋の前に行くと、待ち構えたように顕奘さんがドアの前にいた。


「こんな時間まで、どこほっつき歩いてた」


かなり機嫌が悪そうだ。
忘れていた。昨日の失態を思い出す。


そして思い出したくもなかった七海先生のことまでも。


「……関係ないでしょう??」


思ってもいない言葉が口を突いて出た。これではまた喧嘩になってしまう。


「関係ないってどういう意味だ、心配してたんだぞこっちは」


ひと言、ごめんなさいと言えばよかったのだ。


そんなことはわかっていた。
けれど素直に謝る気になれなかった。



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