初恋のお兄さんと私

そんなだから女の子にも持てたらしいけど、彼女らしい人を見たことはない。


ただ私は嬉しかった。


困っている人を放っておけない優しい性格で、そのために遅刻したこともあったらしい。


それでも言い訳ひとつしなかったそうだ。男らしい。


―――そして顕奘さんは、高校を卒業後、大学に行くために東京に行った。


もう二度と会えなくなる。とまた泣きじゃくって困らせた。


別れ際に耳元で囁いた言葉は、今でも覚えている。


『私、大きくなったらお兄ちゃんのお嫁さんになる!!だから絶対待っててね!?』


顕奘さんは私の頭を優しく撫でると大きな旅行鞄を抱えて旅立った。



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