初恋のお兄さんと私
そうだ。顕奘さんには七海先生がいるじゃない。
私は私で、気にしてくれる、好きだと言ってくれる七海くんと付き合おう。
帰り道、また公園でぼんやりしていると、七海くんがジョンを連れて来た。
動物というのはいいものだ。いるだけで心を癒してくれる。
ジョンを撫でながら、
「……七海くんは、好きな子とかいたの??」
「いたなあ、小学生のとき。でもこんな性格だから、すぐうっとおしがられて嫌われちゃうんだ」
「少しはわかってるんじゃない。だったら何とかしなさいよ」
私は苦笑いした。
「無理だよ。人はそう簡単に変われるもんじゃない。よっぽどのことがないとね」
よっぽどのこと。
よっぽどのことがあったから、顕奘さんは変わってしまったんだろうか。
ブランコに腰掛けながら。
「少なくとも僕はそうだ。だからわかってくれる人、そのままの僕をいいよって言ってくれる人が現れるまで探すしかない」
当たり前のようにあっさり言われて、ちょっと驚いた。
「愛芽ちゃんはそう思わない??ま、自分の考えを押し付けたりしないけどね」
ただの甘えん坊だと思っていたけれど、しっかり自分の考えを持っているのだ。