初恋のお兄さんと私
反射的に、自分の家に入らずに階段を駆け下りた。
「待ってよ!!愛芽ちゃん!!」
息を切らせて追い付く七海くん。けれどもう、抱き締めてもらいたいとも、慰めてほしいとも思わなかった。
「一人にしてよ!!」
と、その後ろから、見慣れない3人組が来た。
「あらあら、女の子泣かして、悪い子だね」
「どうしたのかな??お姉さん、そんな奴ほっといて、俺らと遊ぼうよ」
学校が終わってまっすぐ帰ったとはいえ、夏前でまだ辺りは明るかった。
一人の金髪の派手なシャツの男が私の肩に手を回す。
「やめろよ!!彼女に触るな!!」
もう一人坊主頭でキャップを被った、ダボダボのストリートファッションの男に突き飛ばされ、あっさり転ぶ七海くん。
「邪魔すんなよ」
「おら、邪魔だ」
さらに蹴られて咳き込む。
「やめてください!!」
思わず叫んだけれど、無駄な抵抗だった。
首もとに腕を回され、顔に近づく。
「可愛いじゃん。俺ら引っ越してきたばっかでさ、場所わかんないからコンビニまで案内してもらってもいいかな??」