初恋のお兄さんと私
強かった
「ずいぶん遅い見舞いだな」
入院したはずの病室に、お見舞いに行った。
充分元気そうで、内緒で持ち込んだ竹刀で素振りをしながらチクリと言われた。
「一週間もほったらかしって、どういうつもりだ」
風邪もあり、浅かったけれど怪我もありで、それくらい来なかった気はする。
だからって。
奇跡的に3、4日で体調はほぼ戻っていたようだ。普段から鍛えているだけのことはある。
ただ、チクチクとトゲを刺す。
「なんだ、もう大丈夫なんだ。つまんない」
後ろから顔を出した七海くんを見て、また血が登る。
「てめえ、この役立たずがどの面下げてきやがった」
舌打ちする。
「実は報告がありまして」
「お前、お前まさか…まだ付き合ってんじゃねえだろうな」
「転校することになりまして。父の仕事の都合で」
「ライン交換しても…」
「いいわけねえだろ!?」
言い終わる前にバッサリ切った。
「美夏さんとはどうするんです??」
「知るか!!」
「でも、美夏さん、顕奘さんと結婚する気満々ですよ」
「……勘弁してくれ、一番苦手なタイプだ本当は。大人しい顔してグイグイ来られんのは」