初恋のお兄さんと私
「ところでさ、今さらなんだけど」
瑞希が寄ってきて耳打ちする。
「阿久津先生なの!?ホントに」
「何が??」
「マナの初恋の人」
「えっ……???」
本当に今さらだ。
まあ、わざわざ紹介するのもおかしいし、言ってはないけど。
「さっきのあれって、プロポーズでしょ??もしかして」
汗を拭いていたタオルを口に当て、ブッと吹き出す。
バレてた。
「やっぱりそうなんだ!!やるなあ阿久津先生も!!」
「内緒だよ!?学校にバレたらクビになるかもしれないんだから」
シーッと口の前で指を立てて必死で声を抑える。
「みんな知ってるよもう。それもあるからわざわざ言わないけどね。私だけさっき思い出したの。そういえば終業式のとき言ってたなって」
ずいぶん遅い。
頭から湯気が出そうだ。
「せっかく再会できたのに、怒られてからずっと休んでたじゃん。喧嘩でもしたのかなって、みんな言ってたよ」
そこまでバレてた。
「わかりやすいからね、マナは」
「……そうですか…」
「ところで、どうなの??仲直りしたの??ラブラブになったの??」