初恋のお兄さんと私
肘でつつかれたところで、顕奘さんの雷が落ちた。
「そこ!!くっ喋ってねえで、稽古に戻れ!!」
「はいっ!!…お~怖」
肩をすくめて二人で戻る。
――そしてその日。
初めて顕奘さんのバイクの後ろに乗って帰ることになった。
私の分のヘルメットを渡される。
「しっかり掴まってろよ、振り落としちまうぞ」
「はいっ」
バウン!!とエンジンを噴かす。
なんか、格好いい。
広い背中に体を預ける。温かい。鼓動が伝わってきた。顕奘さんもドキドキしてるんだろうか。
「あんまりくっつきすぎるな、運転しにくい」
「……どっちよ」
後ろの荷台の持ち手を持って、荷物のようにならないとバランスが取れないらしい。
ちょっとだけ遠回りして、川沿いにゆっくり走る。
夕方の、初夏の風が心地よい。
なんか、じんわり幸せだ。