初恋のお兄さんと私


「大体、自分ちで待てばいいでしょう!?」


「だから言ってんだろうが、留守で誰もいねえって。鍵掛かってんだよ。持ってねえし」


自業自得だ。
でもそんなこと言えない。


これ以上言い合っても疲れるだけだ。諦めて渋々自分の鍵を出して開けた。


「トイレ借りるぞ」


上がるなり駆け込む。


「あ~やっと帰ってきた!!」


言うと、リビングのソファに大の字になる。


誰の家なんだか。
様子を窺いながら、チラチラ見る。


服装こそ派手な、いかつい感じだけれど、筋肉質な腕。


ほどよく焼けた肌、ふわふわの髪。大きな黒目がちの瞳、筋の通った鼻、厚めの唇。


その横顔は、それぞれのパーツもバランスよく、嫌いじゃない。


って、どこ目線だよ、私。
ふと目があって、思わずそらす。ソファの背もたれから頭だけ向けて、


「何だよ、チラ見するんならじっくり見たっていいんだぜ」


妙に大人の色気みたいなものを感じて動揺する。


「み、見てないし、興味ないしっ!!」


舌打ちすると、


「…そういやあ、部活、何かやってんのか」


「…一応、剣道」


「ふーん??」



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