初恋のお兄さんと私
そして、その年の剣道の全国大会は、もちろん団体個人ともに制覇した。
―――三年後。
「ううっ、重い」
朝、目が覚めると、すぐ目の前に顕奘さんの顔がある。
相変わらず私は抱き枕だ。そして寝るときは上半身裸だ。
ようやく慣れてきたけど、やっぱりまだまだドキドキする。
「重いってば」
どかそうとするけれど、ぴくともしない。これは起きてる。わざとだ。
「おはようのキスをしてやろう」
言うと、そのまま顔を寄せ唇を塞ぐ。
「早く起きないと、遅刻するよ」
「……あと5分、いやもっと、いいや、今日は休む」
「バカ言わないの!!阿久津先生!!」
「その呼び方やめろ」
また唇を塞ぐ。
無事に??結婚した私たちは、同じマンションの下に住んでいた。
「ホントに早くしないと遅れるわよ!!」
「…わかってるよ」
寝ぼけ眼で着替える。
顕奘さんは、もちろん変わらず高校で教師をしていた。
「ハンカチ持った??ティッシュは??お弁当!!」
一通り持つと、確かめる。
「おっと、忘れもんだ」
言うと、また私を抱き締めてキスしてくれた。
『初恋のお兄さん』、顕奘さん。
―――大切な人。
ずっと昔から。
これからも。