一寸の喪女にも五分の愛嬌を
ハッとしてすぐに笑顔を浮かべ成瀬を振り返る。
「な、何? き、気分でも悪い? 大丈夫」
優しく問いかけながら(イベント中だ! とっとと帰れ!)と心では叫ぶ。
さっきの怒鳴り声が聞こえてしまったのだろうか。成瀬は目を丸くして立ち尽くしている。
が、今は幸い酔っ払っている。明日には記憶違いだとでも思い直してもらおう(個人的な希望だが)。
「あの……ちょっとだけ休ませてもらってもいいですか?」
「え、すごい迷惑」
また言ってしまい、すぐに慌てて言い換える。
「あ、でも……今のうちに帰った方がいいよ。雨もちょっと降ってきたし、すぐにタクシー呼ぶね」
と言ってから、「あ」と気がつく。
タクシーを呼ぶにはスマホが必要だ。しかし今は大事なイベント中。
しかも――。
「ああああ! 嘘! ちょっと、え? なんでシャットダウンしてんの! 嘘でしょ!?」
さっき呼ばれた時に慌てて電源を落としてしまったようだ。
嘘のような出来事に私は半泣きになりながらスマホの電源を入れる。
「ちょっと早く早く!! 何してんのよ! 設定とかいらないから早くアプリ立ち上げてよ!!」
悲痛な叫びは、機械には届かない。
アプリを再度立ち上げ、ティアラ購入の画面まで行ったところで、イベントは終了してしまった。
「な、何? き、気分でも悪い? 大丈夫」
優しく問いかけながら(イベント中だ! とっとと帰れ!)と心では叫ぶ。
さっきの怒鳴り声が聞こえてしまったのだろうか。成瀬は目を丸くして立ち尽くしている。
が、今は幸い酔っ払っている。明日には記憶違いだとでも思い直してもらおう(個人的な希望だが)。
「あの……ちょっとだけ休ませてもらってもいいですか?」
「え、すごい迷惑」
また言ってしまい、すぐに慌てて言い換える。
「あ、でも……今のうちに帰った方がいいよ。雨もちょっと降ってきたし、すぐにタクシー呼ぶね」
と言ってから、「あ」と気がつく。
タクシーを呼ぶにはスマホが必要だ。しかし今は大事なイベント中。
しかも――。
「ああああ! 嘘! ちょっと、え? なんでシャットダウンしてんの! 嘘でしょ!?」
さっき呼ばれた時に慌てて電源を落としてしまったようだ。
嘘のような出来事に私は半泣きになりながらスマホの電源を入れる。
「ちょっと早く早く!! 何してんのよ! 設定とかいらないから早くアプリ立ち上げてよ!!」
悲痛な叫びは、機械には届かない。
アプリを再度立ち上げ、ティアラ購入の画面まで行ったところで、イベントは終了してしまった。