一寸の喪女にも五分の愛嬌を
 悪態をつき、ついでに唾でも吐きかけたいけれど、さすがに一応女子としてそれはギリギリのところで思いとどまる。

 宇宙人でも見るような目でこちらを見ている宗一郎をもう一度睨み付け、すぐに踵を返してマンションに駆け込んだ。


 まだ息が上がっている。
 心地よく飲んでいたお酒なんてもう抜けきってしまった。


 開いたエレベーターに乗り込めば、急に脱力感に襲われ膝が震え出す。

「は……はぁ……はぁ……」

 息が荒くなりグラリと体が傾く。

 頭がガンガンと激しく痛み、体の中で熱が高まり暴れているかのようだ。

 部屋に着くなり靴を脱ぐのも面倒なほど体がだるい。

 今日は課金をしてでもゲームを進めるつもりだったのに、スマホを開くのもだるい。

「ごめん……ここのところ構ってないよね、私の王子様たち……」

 ポイとスマホをベッドに投げながら、自分自身もベッドに倒れ込む。

「ああ……頭が痛い……熱い……ううん、寒い」

 ズキンズキンと頭が痛くて気分が悪い。

 今日はイヤなことがありすぎた。

 私のキャパシティーを超えてしまったようだ。


「早川さんも……宗一郎も……バカにして!」


 目頭が熱くなり、涙があふれてきてしまう。
< 149 / 255 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop