一寸の喪女にも五分の愛嬌を
 心の奥にしまい込んだ箱の鍵を開けたら、たくさんの物が逃げていくと恐れていたけれど、そうじゃなかったのだ。

 開けた途端に抱えきれないほど幸せと煌めきが私の中に飛び込んできて、そして全てを満たしてくれた。

 だから誰か悩んでいる人に言いたい。


 大切だと思う人が出来たなら、怖がらずに飛び込んでと。


 きっと未来は明るい。


 そう信じて私は愛する人に手をのばす。

 彼は大きな手のひらで包むように私の手を握り返してくれる。


 廊下の突き当たり。


 窓の外では雨の空は消え去って、抜けるような青空が広がっていた。
 


                              END
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