一寸の喪女にも五分の愛嬌を
あいつの帰った日曜日。
薄い雲がかかったような、ぼんやりとした胸のモヤモヤに私は眉間を寄せる。
朝になり、あっさりと引き上げた成瀬に、拍子抜けと寂しさなんかを感じてしまっている気がして、自己嫌悪に陥る。
恋愛ゲームを進めていても、頭のどこか片隅で成瀬のことなんか考えていることに気がつき、ハッとして自分に言い聞かせる。
「私の相手はスマホの中だけで充分なの。リアルな男のように裏切ったりしない、誠実で優しくて男前のイケメンが私の生きがい。二次元滅びろ!」
勝手に踏み込んでくるからペースを狂わされ、対応ができていないだけ。
だから月曜日、出勤前の今、私が溜息をつく必要などないのに……成瀬と会うと思えば、会社に行きたくないような重たい気分になっていた。
女慣れしているあいつにとって、きっと軽い暇つぶしだったのだ。
わかっているのに、モヤモヤさせられてしまい不愉快でならない。
いつもより少しだけ丁寧に化粧をし、高めのヒールを履いて気合いを入れてから部屋を出た。