縁〜サイダーと5円玉と君の靴ひも〜
「乃々夏、前話したサッカー上手い人。誰かわかったんだよ」
陽色の弾んだ声で、興奮しているのがわかる。
「へぇ」
そんなことそういえば言ってたな。
上の空なりに琥珀の言葉に耳を傾ける。
「乃々夏と同じクラスだよ。真木陽色っていう人。知ってる?」
思いがけないところで突然聞くその名前に、私の意識が一気に張り詰める。
今、その名前出しちゃう?
「陽色…」
琥珀は生まれながらの馬鹿だ。
キラキラ目を輝かせている琥珀を見上げた時、視界がだんだんぼやけていった。
ポロポロと涙がこぼれて紅茶の中に混ざっていった。
どんどんあふれて、紅茶に溶け込んでそれを飲んだら悲しみが消えてしまえばいいのに…
「どうしたの?乃々夏?」
在花が慌てる。
在花は私の涙に昔から弱い。泣くと、いつも在花の方が慌てて半泣きになる。
私は、ここに居場所があってこんなに心配そうな顔をしている家族プラスやや家族のようなものプラス他人(笑)に囲まれて、幸せなのだと…実感する。
大切な人はこんなにもたくさんいるというのに、何泣いてんだか。
何、切なくなってんだか。
自分に言い聞かせる。
人の温かさにこんなに囲まれているのに。
どうしてこんなに欲張りなんだろう。
でも。だからと言って…
恋が実らなくてもいいなんて思えないよ。
陽色の隣で歩くのは私でありたかった。
陽色の秘密を知っているのも私だけが良かった。
陽色に名前で呼んで欲しかった…
私、いつの間にこんなに陽色のこと好きになっていたんだろう。
陽色の弾んだ声で、興奮しているのがわかる。
「へぇ」
そんなことそういえば言ってたな。
上の空なりに琥珀の言葉に耳を傾ける。
「乃々夏と同じクラスだよ。真木陽色っていう人。知ってる?」
思いがけないところで突然聞くその名前に、私の意識が一気に張り詰める。
今、その名前出しちゃう?
「陽色…」
琥珀は生まれながらの馬鹿だ。
キラキラ目を輝かせている琥珀を見上げた時、視界がだんだんぼやけていった。
ポロポロと涙がこぼれて紅茶の中に混ざっていった。
どんどんあふれて、紅茶に溶け込んでそれを飲んだら悲しみが消えてしまえばいいのに…
「どうしたの?乃々夏?」
在花が慌てる。
在花は私の涙に昔から弱い。泣くと、いつも在花の方が慌てて半泣きになる。
私は、ここに居場所があってこんなに心配そうな顔をしている家族プラスやや家族のようなものプラス他人(笑)に囲まれて、幸せなのだと…実感する。
大切な人はこんなにもたくさんいるというのに、何泣いてんだか。
何、切なくなってんだか。
自分に言い聞かせる。
人の温かさにこんなに囲まれているのに。
どうしてこんなに欲張りなんだろう。
でも。だからと言って…
恋が実らなくてもいいなんて思えないよ。
陽色の隣で歩くのは私でありたかった。
陽色の秘密を知っているのも私だけが良かった。
陽色に名前で呼んで欲しかった…
私、いつの間にこんなに陽色のこと好きになっていたんだろう。