縁〜サイダーと5円玉と君の靴ひも〜
「…は?え?」

陽色は首を傾げて、


「俺、彼女いないけど…」


と、不思議そうな表情。

オレ、カノジョイナイケド

言葉の意味を理解するのに数秒かかって、


「だって、陽色のことよく知ってて名前で呼び合ってて…それで…」


しどろもどろになる私の肩に陽色はそっと手を置いた。


「もしかして、祐奈のこと?」

祐奈?

予想外の展開に私は恐る恐る視線を陽色の顔へと上げていく。


陽色は面白い生き物を見るような目で私のことを見てる。

なんか、わからないけど…私、なにか間違えてる?


「そうだよっ」

やけっぱちで、言い放った。


陽色は急に笑い出して、私の肩を今度はバンバン叩いてきた。


「何?痛いよっ」

肩を叩く振動で声が震える。


陽色はごめんごめんと言って、


「そもそも、あいつは幼なじみだし。ついでに言うと同じクラスにいるんだけど?」


また笑いながら私の肩を叩いた。


はい?

同じクラスにいたら気づくよ、あんな可愛い子。

何?嘘?

陽色の考えてることがわからないよ。



「あ、でも顔見たことないからわかんないか」


まだ笑っている陽色は、私の顔をニヤニヤしながら見ている。
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