縁〜サイダーと5円玉と君の靴ひも〜
「顔を見たことがない?」
クラスメイトの顔を思い浮かべていくと確かに1人、顔を見たことがない人がいる。
不自然なほどの長い前髪で顔を隠している人。
前が見えるかどうか不思議なぐらいなのに、体育の授業では機敏な動きを見せる本当に不思議な人なのだ。
「まさか…春岡さん?」
半信半疑で尋ねた。
「正解。やっぱり気づかないもんだな」
感心している陽色を見ながら体の力が抜けていき、自分の膝に突っ伏した。
「おい、大丈夫かよ?」
陽色が私の背中に手を当てて、体を軽く揺らす。
その揺れに目を閉じてしばらく今日のことを振り返っていた。
陽色といい、春岡さんといい、
「幼なじみ同士…揃いに揃って髪の毛で顔を隠すとはね・・・」
なんだか人騒がせ。
私も、陽色も…
いや、まあ私の早とちりなんだけど。
でも、彼女じゃなかった。
好きでいること、やめなくていいんだ。
まだ好きでいていいんだ。
心がまた熱くなってくる。
しかし、妖怪的な扱いで学校の七不思議のひとつになっているあの春岡さんが、あんな美少女なんて。
人間わからないわ、とつくづく思っていると、
「あのさ、祐奈のこと彼女だと思って、その…落ち込んでたわけ?」
陽色が面白がった口調で私をからかう。
いたずらっ子の顔だ。
クラスメイトの顔を思い浮かべていくと確かに1人、顔を見たことがない人がいる。
不自然なほどの長い前髪で顔を隠している人。
前が見えるかどうか不思議なぐらいなのに、体育の授業では機敏な動きを見せる本当に不思議な人なのだ。
「まさか…春岡さん?」
半信半疑で尋ねた。
「正解。やっぱり気づかないもんだな」
感心している陽色を見ながら体の力が抜けていき、自分の膝に突っ伏した。
「おい、大丈夫かよ?」
陽色が私の背中に手を当てて、体を軽く揺らす。
その揺れに目を閉じてしばらく今日のことを振り返っていた。
陽色といい、春岡さんといい、
「幼なじみ同士…揃いに揃って髪の毛で顔を隠すとはね・・・」
なんだか人騒がせ。
私も、陽色も…
いや、まあ私の早とちりなんだけど。
でも、彼女じゃなかった。
好きでいること、やめなくていいんだ。
まだ好きでいていいんだ。
心がまた熱くなってくる。
しかし、妖怪的な扱いで学校の七不思議のひとつになっているあの春岡さんが、あんな美少女なんて。
人間わからないわ、とつくづく思っていると、
「あのさ、祐奈のこと彼女だと思って、その…落ち込んでたわけ?」
陽色が面白がった口調で私をからかう。
いたずらっ子の顔だ。