縁〜サイダーと5円玉と君の靴ひも〜
翌日、不自然な組み合わせで教室へと向かう私たち。

陽色、加瀬君、愛紗、委員長、そして私。

凛子と連絡すら取ってない私にはなんの連絡もないけれど、加瀬君が言うにはかなり噂になっているとのこと。


当事者ではないにしても、かなりの緊張感。

それはみんな同じで、顔が強張っているにもかかわらず自然体を装う努力をしている。でも、この面子でいること自体がすでに不自然というのに。


「みんな、巻き込んじゃってごめんね」


委員長が申し訳なそうな顔をする。

「昨日寝られた?」

私が聞くと、委員長は首を少し横に振った。


少し顔色が悪いのはそのせいなのかな。


「じゃ、入るよ。教室」


廊下を歩いている時点で、こそこそとなにか噂話をしているのは伝わってきた。

学校側にも、何か連絡が来ているかもしれない。


教室に入ると、みんなの目が一斉に委員長に向けられた。


ざわざわする中、


「あ、来たよ…」

「おとなしそうな顔してすごいね」

「だまされたわ」

「ありえないよね」

委員長を非難する声私たちの耳にも聞こえてくる。


委員長は小さく身をかがめながら自分の席に着いた。


「委員長、ちょっとこっちに来なさい」


学年主任の先生が教室に入るなり委員長を呼び出した。


「先生、藤本先生とのこと?」

「やっぱマジだったんだ」

「なんかショック」


クラスの中はますますざわついてきた。


< 65 / 115 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop