縁〜サイダーと5円玉と君の靴ひも〜
委員長は青ざめた表情で、席を立った。

委員長どうなっちゃうの?

どうしよう・・・

委員長を追うように一歩出した瞬間。


「先生、俺のLINEにこんなのが送られてきてたんですけど」


加瀬君が藤本先生と委員長のツーショット写真を見せた。


「ちょっと、何して・・・」

私が止めようとした時、腕をぐっと掴まれた。

振り返ると陽色が、

「晴輝を信じよう」

と、小声で言った。


私は、無言でうなずいて加瀬君のほうを見た。


「お前には関係ないことだ」

先生はそう言って、委員長を連れて行こうとした。


「それが、関係あるんすよ。昨日、俺らも一緒だったんです、だよな?」

陽色のほうを見ると、

「はい」

陽色は先生を見た。


「実は、昨日愛紗ちゃんの犬が散歩中に逃げちゃったのを、乃々夏ちゃんと探してたところに俺と陽色が遭遇してみんなで手分けして探してたんだよ、な?」


今度は私と愛紗を加瀬君が見て、

「そう…だね。うん、大変だったよね…」

うんうんと頷き合った。


「いろいろ聞いて回っていたら、レンタルショップに入ったって聞いて。行ってみたわけ。そしたらさ、愛紗ちゃんの犬が店内を走ってんだよ」


「まじで?」

「うける」

加瀬君の話にみんながのってきた。


「その愛紗ちゃんの犬がさ、その後・・・18禁コーナーに入っちゃって。ね?」

「オスなの」


愛紗がなぜか申し訳なさそうに言った一言に、みんな爆笑。


「あはは。やばいって」

凛子が大声で騒ぐ。


「出て来なくて、なかなか。仕方ない、俺が入ろうって思ったら、『こら!何やってんの』って後ろから声がして、見たら委員長なわけ。ちょっとだからって言ってもさ、『ダメ!だって加瀬君入ったらなかなか出て来なさそうなんだもん』って!」


加瀬君の話にみんなが爆笑。

加瀬君、マジで何者?

「委員長、真面目すぎ!本当に根っから委員長だね」

さっきまでの雰囲気が一変していた。


< 66 / 115 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop