縁〜サイダーと5円玉と君の靴ひも〜
そして、私は打ち明けることにした。
「私、委員長と先生のことちょっと前から実は知ってたの、ごめんね。でも、正直・・・先生といるときの委員長がもうめちゃくちゃ可愛かったの。学校では見ない顔を先生には見せられるんだなって、そういうのいいなって。うらやましいなって、思った。だから、委員長にこの恋を失くしてほしくなかったの」
人のためにこんな一生懸命になる自分が、自分じゃないみたいだと、少し恥ずかしくなりそうになった時、委員長は照れながら、少し笑った。
「ありがと」
はにかむ委員長の顔がやっぱり可愛かった。
「いいなあ、なんかきゅうんってなるね、ね?」
愛紗が私の顔を覗き込んで、私も頷いたけど・・・
「愛紗さえその気になればすぐ恋始められるよ」
私とは違って・・・
比べるまでもない。
そう言い放つと、
「乃々夏ちゃんはまだ恋始まってないの?」
愛紗の言葉に、
「悲しいこと聞かないでよ」
手で顔を覆った。
「じゃ、俺とどう?」
すかさず加瀬君が私の手を握って顔から外した。
「また、軽々しく嘘つくし。騙されないから」
頬っぺたを膨らますと、
「ひどい」
加瀬君はまた嘘をついた。
隣に座りながら一言も発してない陽色が、膨らませた私の頬っぺたを手でぎゅっとした。
「痛いよ?」
陽色の表情はよく見えない。
見たい…
陽色、今どんな顔してるの?
思わず手を伸ばして、前髪を上げた瞬間・・・
陽色は頬っぺたから手を放して私から離れた。
もうちょっとで見られたのに・・・
がっかりする私のおでこに陽色はデコピンしてきた。