縁〜サイダーと5円玉と君の靴ひも〜
衣織は震えながら青ざめた顔で涙をこらえていた。
いつも上から目線で、私のことをバカにしていた衣織。
男子に媚びてた衣織。
自意識過剰で自己中な衣織。
ほんとに嫌な奴・・・大嫌い。って本当は心の中で何度も思った。
その衣織が今、クラス中に冷ややかな目で見られている。
自分で蒔いた種だよね、本当。
これぞ自業自得。
散々人を傷つけてきたわけだから、今それが自分に返ってきてる…そういうことなのだろう。
窮地に追い込まれた衣織を擁護する声も聞こえない。
味方がいない…
衣織は今どんな気持ちだろう?
一番なりたくなかった、自分からは一番遠い立場だと思っていたところにいる気分は…?
衣織、今、ヒトリボッチ。
人の心の痛みを知ればいい…
どれだけ人を傷つけてきたか、知ればいい。
だけど…それでいいの?
心の中の、私が問いかけてくる。
人として、それでいいのか。
見て見ぬ振りをしてあの魔女達と同じところまで落ちるか。
私は、自分の人として大事な部分を失いたくない…
せっかく大切なことが見えてきたのに。
大きく息を吸い込んだ。
「え?カッコよくない?逆に」
私の声にみんなの視線が一斉にこっちを向いた。
みんなの視線に今更ながら緊張する。
それでも、スカートをギュッと握りしめて、
「そもそも、嘘つく必要ないじゃん。あれだけ買いそろえるの相当だよ?欲しいもの自力で手に入れてるんだから。これこそ真っ当だよね」
目の前の愛紗を見た。
「確かに、本当そうだよね」
愛紗が頷いた。
「ビッチじゃない衣織、私好きだけど。オシャレなことには変わりないし」
私の言葉にちらほら、
「まぁ。確かに、そうだよね」
「うん。ある意味すごい」
「貢がせてないとか逆に好感度あがるわ」
こんな声も聞こえてきた。
衣織の目から涙が零れ落ちた。
しばらく顔を覆っていたけれど、上を向いて深呼吸した。
「私・・・嘘ついてごめん。本当は他にも、犬の散歩のバイトとか、掃除のバイトとか、古本屋の店番のバイトもしてるの」
衣織のカミングアウトにみんなの驚く声が響いた。
「まじで?すごい」
「意外と根性あんな、衣織」
どんどん、クラスの空気が変わる。
青ざめた教室から一気に華やかな教室へと変わると、私の体温も上がって体がポカポカする。
自分が緊張していたことを、いまさらながら自覚した。
ゆっくり息を吐いて、ホッとした瞬間。
「乃々夏、ごめん。今まで、ほんとにごめん。ありがとう」
衣織が私に向かって頭を下げてきたので、私も立ち上がって頭を下げた。
「いや、いえいえ」
そんな私を見て、
「なんで乃々夏が頭下げんの」
衣織が笑った。
「やっぱ、乃々夏ちゃんおもしろいわ」
加瀬君の声。
笑った顔久しぶりだし。
「でしょ?」
笑いながら答えた。
陽色を見ると、こっちを向いていた。
久しぶりに目が合った。
どんな顔してるの?
声が聴きたいよ・・・
いつも上から目線で、私のことをバカにしていた衣織。
男子に媚びてた衣織。
自意識過剰で自己中な衣織。
ほんとに嫌な奴・・・大嫌い。って本当は心の中で何度も思った。
その衣織が今、クラス中に冷ややかな目で見られている。
自分で蒔いた種だよね、本当。
これぞ自業自得。
散々人を傷つけてきたわけだから、今それが自分に返ってきてる…そういうことなのだろう。
窮地に追い込まれた衣織を擁護する声も聞こえない。
味方がいない…
衣織は今どんな気持ちだろう?
一番なりたくなかった、自分からは一番遠い立場だと思っていたところにいる気分は…?
衣織、今、ヒトリボッチ。
人の心の痛みを知ればいい…
どれだけ人を傷つけてきたか、知ればいい。
だけど…それでいいの?
心の中の、私が問いかけてくる。
人として、それでいいのか。
見て見ぬ振りをしてあの魔女達と同じところまで落ちるか。
私は、自分の人として大事な部分を失いたくない…
せっかく大切なことが見えてきたのに。
大きく息を吸い込んだ。
「え?カッコよくない?逆に」
私の声にみんなの視線が一斉にこっちを向いた。
みんなの視線に今更ながら緊張する。
それでも、スカートをギュッと握りしめて、
「そもそも、嘘つく必要ないじゃん。あれだけ買いそろえるの相当だよ?欲しいもの自力で手に入れてるんだから。これこそ真っ当だよね」
目の前の愛紗を見た。
「確かに、本当そうだよね」
愛紗が頷いた。
「ビッチじゃない衣織、私好きだけど。オシャレなことには変わりないし」
私の言葉にちらほら、
「まぁ。確かに、そうだよね」
「うん。ある意味すごい」
「貢がせてないとか逆に好感度あがるわ」
こんな声も聞こえてきた。
衣織の目から涙が零れ落ちた。
しばらく顔を覆っていたけれど、上を向いて深呼吸した。
「私・・・嘘ついてごめん。本当は他にも、犬の散歩のバイトとか、掃除のバイトとか、古本屋の店番のバイトもしてるの」
衣織のカミングアウトにみんなの驚く声が響いた。
「まじで?すごい」
「意外と根性あんな、衣織」
どんどん、クラスの空気が変わる。
青ざめた教室から一気に華やかな教室へと変わると、私の体温も上がって体がポカポカする。
自分が緊張していたことを、いまさらながら自覚した。
ゆっくり息を吐いて、ホッとした瞬間。
「乃々夏、ごめん。今まで、ほんとにごめん。ありがとう」
衣織が私に向かって頭を下げてきたので、私も立ち上がって頭を下げた。
「いや、いえいえ」
そんな私を見て、
「なんで乃々夏が頭下げんの」
衣織が笑った。
「やっぱ、乃々夏ちゃんおもしろいわ」
加瀬君の声。
笑った顔久しぶりだし。
「でしょ?」
笑いながら答えた。
陽色を見ると、こっちを向いていた。
久しぶりに目が合った。
どんな顔してるの?
声が聴きたいよ・・・