愛しの魔王サマ
Ⅰ
①我らが魔王サマ
人間の棲む大陸から遠く離れた場所。
そこに、魔物たちの棲む大陸はあった。
そして、数千年の時を経て封印を解かれた魔物が一人―――――
運命の歯車を動かし始めたのだ。
「お久しぶりです。お迎えにあがりました」
畏まり頭を下げる黒ずくめの男。
目の前には幼げな姿の裸の少年。
男は彼を
「魔王サマ」
そう呼んだ。
< 1 / 293 >