愛しの魔王サマ
魔物たちの賑やかな声。
楽しそうな笑い声を聞きながら自室に戻って来た。
「マオさま。パーティーに参加しなくてもよろしいのですか?」
「魔王たるもの、その様な場ではしゃいでいいものか。こうして賑わいを落ち着いた場所で達観しているのがいいのではないか!」
「ようは、お疲れになった、という事ですね」
「違う!」
アドルフは俺の言葉もものともせず、テキパキと紅茶を用意する。
一口サイズのケーキを数種類乗せた皿と一緒に机に置いた。
「必要でしたら他にも用意いたしますが」
「いや、これでいい」
フォークを手に取るとケーキを半分に切り口に運ぶ。
甘い風味が口の中に広がり、美味だ。
「ルカはどうしている」
「パーティーで楽しんでいる頃かと」
「そうか。あまり酒を飲ませるな。あれが酔うと面倒だ」
「かしこまりました」
ルカが酔うと、普段高いテンションがさらにストッパーが外れ、それに加えキス魔になるという、最悪な酔っ払いが出来上がる。
今までも、何度犠牲になったことか・・・。
「ですが、私には特に被害はありませんので、構わないのですが」
「そういえば、そうだったな・・・。あの都合の良い酔っぱらいはなんなのだ」
まぁ、アドルフにそんなことをした日には次の日の朝日はおがめないことくらい、あいつもわかっているという事か。